防災筋力®トレーニング

災害はいつどこで起こってもおかしくありません。阪神淡路大震災における生き埋めや閉じ込められた際の救助主体は救助隊の割合が1.7%、95%以上は本人・家族・友人・隣人による救助でした(内閣府調査)。災害救助の際、自助や共助で必要なのは筋力や体力です。非日常時に使える筋力を身につけるための「防災筋力®トレーニング」を日常に取り入れることで、災害対策と健康増進をはかり、家族の安心と安全と健康を守る一助にしましょう。
CASE①自律神経を整える
災害下や避難所での生活などでは、心身ともに常に緊張した状態が続きます。 呼吸を整えることで、自律神経(副交感神経)が調整され、リラックスした状態が作れます。

CASE①自律神経を整える

■骨盤を後ろに傾ける

骨盤を後ろ(自分のほう)に傾けて、腰が床から離れないようにする。両腕を横に広げて深く楽に2回深呼吸。最初の姿勢に戻って繰り返しおこなう。
【推奨回数 ×5回】

筋力トレーニングとしての応用

CASE①自律神経を整える
■仰向けで足を上げる
仰向けになり、両足を椅子の上にのせる。膝の角度は90°で、かかとを椅子に軽く押しつけ、両手は力を抜いて手のひらを上に向けて体の横に置く。

■お尻を持ち上げるかかとを椅子に押しつけながらお尻を上げる。背骨を下から順番にひとつずつ床から離すイメージで。10-15㎝上げたら最初の姿勢に戻って繰り返す。
【推奨回数 ×5回】
CASE①自律神経を整える
■ひざにボールを挟んで仰向けで足を上げる
仰向けになり、両足を椅子の上にのせる。膝の角度は90°で、ひざにボールやタオルなどを挟む。両手は真上に上げて大きく前にならえの形に。

■上体を起こすかかとを椅子に押しつけ、ボールをつぶしながら上体を起こす。肩甲骨の上側が床から少し離れるぐらいのところで深呼吸。最初の姿勢に戻って繰り返す。
【推奨回数 ×5回】
CASE②ほふく前進
火事や地震から逃げる時には、低い姿勢を取ることが大切です。 煙は上に上がっていく性質があるため、地面に近いほど酸素が多く残っています。 低い姿勢でもうまく身体を動かせるようなトレーニングが必要です。

CASE②ほふく前進
■四つ這いになる
床に両手、両ひざをついて四つ這いの姿勢になる。肩の真下に手首が、股関節の真下にひざがくるようにし、顔も真下を向く。

■背中を丸める
お腹を引っ込めるような意識で、背中を丸める。背中を丸めた状態のまま、腹筋を意識して深呼吸。最初の姿勢に戻って繰り返す。
「推奨回数 x5回」
CASE②ほふく前進
■四つ這いになる
床に両手、両ひざをついて四つ這いの姿勢になる。肩の真下に手首が、股関節の真下にひざがくるようにし、顔も真下を向く。

■左ひじと右ひざをつける
対角の左ひじと右ひざをお腹の下でくっつける。もしつかない場合は、近づけるだけでもOK。

■左腕と右脚を伸ばす
くっつけていた左腕と右脚をまっすぐ伸ばした状態で3秒キープ。その後もう一度左ひじと右ひざをくっつけるを繰り返す。反対側も同様におこなう。 【推奨回数 左右×5回】
CASE②ほふく前進

■脚を前後にずらして横ずわりに

床に横ずわりになり脚を前後にずらす。肩の真下にひじを置き、右手を上げてスタンバイ。

■右腕を遠くへ伸ばす
右腕を遠くの物を取るように伸ばしていく。右脇腹が伸びているのを意識する。

■体を前に捻りながら右手の小指を床につける
右腕を伸ばしたまま、体を前に捻りながら、小指を床について2回深呼吸。上の姿勢に戻って繰り返す。反対側も同様におこなう。
【推奨回数 左右×4回】
CASE②ほふく前進
【火災のときには第3ほふくも有効!】

■上体を下げすぎないでスピードを担保
第3ほふくは腰を落とし、片手のひじを支点に体を支え、前に進んでいくスタイルです。火災発生時、煙を吸い込まないために低い姿勢をとる必要があるので、このほふく前進を活用。ただし、地面や床にガラスの破片などが落ちていない場合に限ります。

CASE③人・物を運ぶ
負傷者を抱きかかえて運んだり、瓦礫を持ち上げて移動させるなど、災害時には足腰の力を使うことがよくあります。 常日頃から、足腰のパワー(筋力)をつけておきましょう。

CASE③人・物を運ぶ

■腰に手を当てて立つ
足を肩幅程度に開き、つま先はやや外側を向けて立つ。

■太ももが床と水平になるまで降ろす
背中を丸めず、顔は正面を向いたまま、太ももの前面が床と水平になるまで降ろす。
最初の姿勢に戻って繰り返す。 【推奨回数 ×10回】
※どちらも姿勢を正して立つ 背すじを伸ばした状態で真っ直ぐに立つ。耳・肩・股関節・外くるぶしが一直線になるように意識する。
CASE③人・物を運ぶ

■重りを持って真っ直ぐに立つ
両手で重りを持ちながら、つま先はやや外側を向けて立つ。

■背中が床と水平になるまで前に倒す
背中を丸めず、腕は伸ばしたまま、背中が床と並行になるまでゆっくりと前に倒す。最初の姿勢に戻って繰り返す。 【推奨回数 ×5回】
CASE④走って逃げる
昨今の異常気象による大雨や洪水、そして津波や土砂災害など、その場から急いで逃げ出さないといけない状況にも出くわします。
いつでも走れるような準備(体づくり)をしておきましょう。

CASE④走って逃げる
■バックランジ ・左足を後ろに引く
右足を大きく後ろに引く。体重は前足(左足)にのせる。元の位置に戻って繰り返す。反対側も同様におこなう。 【推奨回数 左右×8回】

■フロントランジ ・右足を前に出す
左足を大きく前に出す。体重は前足(左足)にのせる。
元の位置に戻って繰り返す。反対側も同様におこなう。 【推奨回数 左右×8回】
CASE④走って逃げる

イラスト:中村朱美
防災筋力®トレーニング監修
監修
株式会社メディカルアート
代表取締役 坪井良寛氏

はり師|きゅう師|柔道整復師|鍼灸学修士

2007年 明治鍼灸大学鍼灸学部卒業
2012年 明治国際医療大学大学院鍼灸学部研究科博士前期課程修了
2013年5月 つぼい鍼灸整骨院開院
2016年11月 株式会社メディカルアート設立
2019年5月 機能回復ジム メディカルアート オープン